猫と人間のヒゲの違い~レーダー機能に獲物捕獲も…切ったらダメな理由も

あご下を撫でられるポツ(シールポイント♂猫) 猫アラカルト
ポツ

猫のヒゲといえば猫のチャーミングポイントの一つなのですが、いわゆる人間のそれとは決定的な違いがあります。ここではそんな猫のヒゲの秘密に迫ってみたいと思います

猫のヒゲの種類と生えている場所

人間のヒゲというのはアゴヒゲや頬ヒゲ、あごヒゲなどが一般的ですが、その他の体の部位に生えている体毛と基本同じであり、体毛のうちの一つだと定義されています

片や猫のヒゲですが、皆さんご存じの鼻と口の周りにある特徴的なひげだけでなく、主に以下の場所にヒゲがあります

顔付近に生えている猫ヒゲの一覧(モデルは16歳茶トラ猫のチャコ)
ヒゲの場所(モデル:チャコ)

この猫の各ヒゲですが、人間のヒゲと決定的に違うのは猫のヒゲは体毛(被毛)ではないという事です

猫のヒゲと体毛の一番の違いとは?神経伝達で脳と繋がっている?

猫のヒゲは体毛ではない…という事は一体猫ひげは何なのか??と言いますと、結論から言えば猫のヒゲは神経が通っているうえに筋肉が付着して血管も通っています。故にヒゲが触れたものを感知したりする働きがあります

猫のヒゲは「触毛」「洞毛」といいますが、上記の特徴からそう言われているという事ですね

神経が通っているという事は、ヒゲが触れた感覚などは脳へと情報が送られているという事であり、人間が手や足で触れる事でそれが柔らかいものであるとか冷たいもの、濡れているもの…と認識するのと同じ役割を果たしているということです

つまり、猫のヒゲというのは探知機能を持つレーダー的なものといえるのです

レーダー機能を持つ第二の目、猫ひげ~その役割や働き、機能とは

猫のヒゲはレーダー機能のようなものだといいましたが、具体的に日常でどういった働きをしているのか、どういう場面で役立っているのかをご説明しましょう

猫のヒゲは第二の目?視力の弱さを補填する優れもの

猫の視力はとても弱く、一説によれば人間の視力の10%程度であり色の識別も出来ないといわれています

人間は視力によって得られる情報がとても多く、目からの情報で判断する機会がとても多いのですが、猫の場合はその役割の多くをヒゲによって補っているといえます。例えば人間の場合、両手を水平に広げて片足立ちした時に目を瞑った時と目を開けた時で平衡感覚が全く違いますよね。もちろん目を閉じた時の方がバランスが崩れやすいです。猫の場合は視力の代わりにヒゲが平衡感覚を補填しているともいわれています

こういったことを鑑みたら、猫にとってのヒゲは第二の目といってもいいのかもしれませんね

メロ(16歳キジトラ♀)の口元付近のヒゲのアップ画像
第二の目(メロのドアップw)

狭い場所を通り抜けるために必要なヒゲ~通れるか通れないかを識別するレーダー機能

これは猫好きな人には有名な話で知っている方も多いと思いますが、猫はヒゲによって通れる場所かどうかを判別しています

ヒゲが触れるか触れないかで体が通り抜けられるかどうかを判断しているという事ですね。ヒゲが触れなければ通れる、触れれば通れないからやめておこう…人間だったら目で見て判断することが多いと思うのですが、視力がとても弱い猫は、ここでも目(視力)を補う意味でヒゲが重要な役割を果たしているというわけです

人間の眉毛以上の働き!猫の眉毛は猫の目を守る異物探知機

人間における眉毛の重要な役割といえば、まつ毛とともに目の中にほこりや異物などが入ることを防止するというものがあります

猫の目の上に生えているヒゲ(触毛)も人間のまつ毛のように異物が目に入るのを防ぐ役割があるといわれています。前述したとおり神経が通っている猫のヒゲには優れた触覚能力があり、目に入る前に目の周囲にある異物などを素早く目の上のヒゲで感知して目に入る前に素早く目を閉じることで目を守っているというわけです

まさに究極のKYK(危険予知活動)ですよね

足に生えているヒゲは猫の本能~カワイイだけじゃない狩猟肉食動物の本領発揮

足に生えているヒゲにもとても大きな役割があります

猫は前足に生えているヒゲによって捕まえた獲物の状態や障害物の有無を感知しています。猫は虎やライオン、ヒョウ、チーターといった肉食動物と同じネコ科の哺乳綱食肉目の動物です。当然本能として狩りをするわけですから、狩りで捕まえた獲物の状態をこの前足のヒゲで判別しているといわれています。愛玩動物としての猫の本能をこの前足ヒゲから感じる事ができますよね

さらに地面に近い位置の障害物の有無などを識別する機能があります。なんでこんなとこにヒゲが…という疑問にもちゃんとした理由があるんですね

ベッドの上でひっくり返る我が家最年少茶白猫のピトー
狩猟肉食動物

猫のQOLに関わる人為的なヒゲ抜きやヒゲ切りは絶対NG行為

さて、ここまで述べてきたように猫のヒゲにはこれ程重要な働きがあります

というわけで、猫のヒゲを抜いたりハサミで切ったりというのは絶対NG行為となります。人間のヒゲと違って猫のヒゲは五感に関わる重要な器官ですので、人為的にこれを取り除くということは猫のQOL(クオリティ・オブ・ライフ)に重大な影響を与える行為ですので絶対にしないでください

実はうちで飼っているメロ(♀16歳)は片方の目が殆ど見えていません。この事実はメロが特発性前庭疾患を患って罹りつけの病院で診てもらった時に先生の診察によって判明しました。失明の原因が特発性前庭疾患が原因かどうかはわかりませんが、先生曰く

「意外と猫って片方の目が見えなくてもそんなに支障が出ないものなんですよ。家の中で飼っている猫だったらそれ程心配しなくてもいいと思いますよ」

と言われました。確かにメロに殆ど片方の目が見えていない影響は日常から全く感じられません。これも第二の目といえるヒゲの働きが大きく関わっているのかもしれませんね

カーペットの上で横になるポツ(16歳シールポイント♂猫)
狩猟肉食動物その2

猫のヒゲの異変には皮膚疾患の他に命に関わる重大な病気が隠れていることも…

猫のヒゲというのは約半年で定期的に抜けて生え変わるといわれていますが、病気が原因で抜け落ちるという可能性もありますので一気に抜け落ちるとか抜けたヒゲが生えてこないといった状況には注意を払っておく必要があります

ヒゲが抜け落ちる原因となる病気には主に皮膚疾患ですが、中には猫白血病や猫エイズといったとても恐ろしい病気が隠れている可能性もあります。ヒゲで気になる事があれば一度病院で診てもらっておけば安心です

2004年に猫白血病(母体感染)で亡くなったうちのミュウ(♂)はヒゲが殆どありませんでした。残っていた数少ないヒゲも折れ曲がったり途中で切れたりしていましたね。こういった症状と白血病との因果関係は今でもはっきりと解明されていないようですが、白血病やエイズでヒゲに影響が出る事もあるというエビデンスがあるのは間違いないようですのでこれからの更なる研究に期待したいですね

まとめ~髭をお守り代わりにするからと故意に抜いたり切ったりはダメ絶対!

ここまで述べてきたように、わたしたちが思っている以上に猫のヒゲというのは重要な役割を果たしています

猫のヒゲというのは猫のチャームポイントの一つでもありますし、一方では猫のヒゲを開運の縁起物、縁結びや金運のご利益があるという言い伝えもあってお守り替わりにする方も多いです。ですが、重ねて言いますが絶対に猫のヒゲを切ったり抜いたりは絶対にしないでください。お守りにするのであれば自然に抜け落ちたヒゲでお願いします

このサイトでも何度もいっていますが、何より猫ファーストの精神をお忘れなく!

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