日本では1000年以上前の平安時代には既に家畜として飼われていたといわれている猫。日本における猫の歴史は、一説では卑弥呼の邪馬台国よりさらに古い弥生時代に遡るともいわれている程に日本での猫の歴史は古いです
そんな日本人にとっての猫の身近さを物語っているのが猫にまつわることわざや慣用句の多さです
ここでは、そんな猫にまつわることわざ・慣用句をご紹介します
猫にまつわることわざ一覧とその意味や類義語・同義語、使い方等
猫に小判~意味と同義語
猫にまつわることわざの中でも一番有名なものかもしれませんね
人間にとってはとても価値のある小判(お金)であっても、その価値の分からない猫にそれを与えても何の意味もなさないし役に立たないという意味です。「豚に真珠」も同じ意味ですね。なお、「豚に念仏猫に経」ということわざも「猫に小判」「豚に真珠」の類義語です
個人的には別に猫や豚でなくとも、犬でも馬でも牛でも鶏でもいいじゃないかと思うんですけどね。なんか猫と豚の扱いが可哀そうな気が 笑
窮鼠猫を噛む~意味と類義語
昔から猫とネズミというのは切っても切れない間柄であり、猫が日本で重宝されるようになったのは穀物などを食べてしまうネズミを退治してくれる天敵ともいえる存在だったからといわれています
そんな猫とネズミの関係を例えたことわざがこの「窮鼠猫を噛む(きゅうそねこをかむ)」
ことわざの意味は、追いつめられた弱者は天敵や捕食者にも決死の反撃をしてくるという意味です。類義語に「火事場の馬鹿力」「イタチの最後っ屁」「最後の悪あがき」などがあります
猫の首に鈴を付ける~意味と類義語、例文や使い方
猫はすばしっこい動物でそう簡単には捕まえられないですよね。そんな猫の首に鈴をつけるのはとても難しいことであり、このことわざは実現がとても困難な事を指しています
「確かにいいアイデアだけど、実際には猫の首に鈴を付けるようなもんだな」
「机上の空論(きじょうのくうろん)」「言うは易く行うは難し(いうはやすくおこなうはがたし)」と同じような意味ですね
猫の子一匹いない~意味と使い方、同義語
猫は古来より日本人にとってとても身近な存在であり、街中などでも人間以外で最もよく見かける動物でもありました。この「猫の子一匹いない」という言葉は、猫さえ全く見かけない程に閑散としている、或いは寂しい様子を現したことわざです
「なんて寂れた街だ。猫の子一匹いやしない」
このような使い方をします。なお、イタリアでは同じ意味で「猫が四匹いる」ということわざがあります。猫を使った同義のことわざですが、0と4という猫の数の違いがとても興味深いですね
猫の手も借りたい~意味と同義語、例文や使い方
「あーホント忙しいわー、猫の手も借りたいくらいだよ」
猫でもいいから手伝って欲しいほど忙しい様子を例えているのがこのことわざです
実際には猫が人間の仕事を手伝う事は出来ないので戦力的にはほぼ0なのですが、それでもいいから人手(猫手?)が欲しいほど忙しいという意味です
「てんてこ舞い」「てんやわんや」といった言葉もほぼ同じ意味を持ちます。
「いやぁ助かったよ。猫の手も借りたいほどだったからね」
実際に手伝ってもらった人にこんな言葉は使わないようにしましょう。その人にほぼ期待していなかったという事になってしまいます。ディスってるってことですからね
猫に鰹節~意味と類義語
猫の大好物の代名詞といえば「鰹節(かつおぶし)」ですよね。我が家でもたまにあげたりしますが、猫たちが我先にと争うように飛びつきます
この「猫に鰹節」ということわざは、猫にとって大好物の鰹節が猫の近くに置いてあるという状況を現しています。つまり絶体絶命のピンチ、危険な状況といった意味ですね
「狐に小豆飯」「盗人に鍵を預ける」といった類義語があります
猫を追うより魚をのけよ~意味と同義語
鰹節と同じく猫の大好物といえば魚。「お魚くわえたドラ猫~」と国民的人気アニメの歌詞でも出てきますよね
このことわざは、猫の大好物の魚を食べられまいとするのであれば、猫を追っ払うのではなく魚を隠せばよいという意味です。対症療法ではなく根本的な原因に目を向けなさいという事ですね
なお、「猫を追うより皿を引け」「猫を追うより鰹節を隠せ」は全く同じ意味を持つ同義語です
鳴かない猫は鼠を捕る・鳴く猫は鼠を捕らぬ~意味と類義語
「鳴かない猫は鼠を捕る」普段必要以上に鳴くことのない猫ほどネズミを捕まえるのが上手だというこのことわざ、要約すれば不言実行ということですね。類義語に「能ある鷹は爪を隠す」がありますが、同じ猫を使った「上手の猫が爪を隠す」という類義語もあります
「鳴く猫は鼠を捕らぬ」こちらは普段よく鳴く猫ほど大して鼠を捕まえられないということです。要約すると有言不実行ということです。類義語は「弱い犬ほどよく吠える」などがあります
この2つのことわざは対をなすことわざであり、簡単に言うと「良くしゃべる奴ほど実は大したことはない、出来る奴は不言実行」ということですねw
猫も跨いで通る~意味と例文・使い方
こちらも魚に関連した猫のことわざです。意味は、魚大好きな猫さえも跨いで通る(またいでとおる)、つまり興味を示さず素通りする程の魚の事です。腐った魚、不味い魚、身の無い骨だけの魚…などの事をさします
使い方は「あそこのスーパーの魚は猫も跨いで通る程だから買わない方がいいよ」
ちなみに、短縮して「猫跨ぎ(ねこまたぎ)」という名詞として使われる場合もありますね
皿舐めた猫が科を負う~意味
「皿舐めた猫が科を負う」科(とが)とは罰されるべき罪という意味であり、お皿の上の食べ物を食べた猫ではなく最後に皿を舐めていた猫に全責任が負わされるという意味のことわざです
ドラマなどでもよく描かれますよね、末端の人間が罪を負わされて巨悪はまんまと逃げおおせる…いや現実でもそうか 苦笑
猫にまたたび~意味と同義語、使い方
猫にとっての大好物は魚ですが、最高の嗜好品といえば木天蓼(またたび)でしょう。木天蓼の匂いを嗅いだり食べたりした猫が恍惚の表情でゴロゴロしたりハイテンションになったりした姿を見たことのある方も多いのではないでしょうか
「猫にまたたび」とは凄く好きなものであること、或いはそれを与えると相手の気をひと際引く程効果的なものの例えです
使い方としては、「猫にまたたび」だけで使われる事もありますが、そのあとに「お女郎(じょろう)に小判(こばん)」とか「泣く子に乳」という同義語をつけて「猫にまたたびお女郎に小判」「猫にまたたび泣く子に乳」などという使い方をされる事が多いですね
猫糞(ねこばば)を決め込む~意味や使い方
人の持ち物を自分のものにしてしまう事を「ねこばば」といいますが、正式には「猫糞を決め込む」といいます。このことわざが短縮されて猫糞(ねこばば)という単語が横領や着服、横取りといった意味で使われることが現代では多くなっていますよね
「猫糞を決め込むようなことは良くないよ。ちゃんと拾ったものは警察に届けないと」
上記のような用法が本来の使い方といえます。「糞」の事を関西などでは「ばば」と呼びますが、このことわざにおける猫糞とは漢字通りで猫の糞という事です。キレイ好きな猫はトイレをした後、しっかりと砂をかけて自分のうんちを隠しますよね。ここから、人のものを自分のものとして隠してしまう事を「猫糞(ねこばば)」と呼ぶことになったといわれています
結構毛だらけ猫灰だらけ~意味と有名にしたあの国民的人気キャラの口上
これは…厳密にいえばことわざではないと思うのですが、とても有名な言葉なのでご紹介しておきます
意味は「大変けっこうなことだ」という満足を現す言葉です。ニュアンス的には「余は満足じゃ」「上等上等」といった言葉ともよく似ていますね
もともとは落語などで使われていた洒落っ気の利いた言い方なのですが、この言葉を有名にしたのはやはり「男はつらいよ」でしょう。主人公の寅さんこと車寅次郎の口上として一躍有名になったこの言葉ですが、最近はあまり聞かなくなったのは少し寂しいですよね
猫にまつわる慣用句一覧とその意味や類義語・同義語、使い方等
猫も杓子も~意味や同義語、使い方
これも良く使われることわざですよね。「ねこもしゃくしも」と読みます。「誰もかれも」「皆が皆」「どいつもこいつも」といった意味であり同義語ですね
「もう最近は猫も杓子もスマホでガラケー使ってるのなんて俺くらいのもんだよ」
まあこんな感じで使えば良いかと思います。肯定的な意味でも否定的な意味でも使われる言葉ですが、個人的には否定的(ネガティブ)な意味で使われることの多いことわざだと思いますね、特に最近は
借りてきた猫~意味と同義語、例文や使い方
猫を飼っていらっしゃる方はお分かりかと思いますが、猫というのは縄張り意識の強い本能が故に、テリトリー以外の場所…初見や慣れない場所などでは警戒心でとたんに大人しくなってしまいます
この「借りてきた猫」ということわざは、普段とは打って変わってしおらしい、大人しくしている様子を例えた言葉です
「あいつ何か今日は借りてきた猫みたいだな」
こんな感じで使いましょう。「内弁慶(うちべんけい)」などと同じような意味ですね
猫の額~意味と使い方
猫の額は人間に比べてとても狭いですよね。というより、どこからどこまでが額?そもそも猫に額ってあるの?というレベルです。耳と目が大きい故に額のエリアが小さい猫の顔の特徴を端的に現した慣用句がこの「猫の額」です
意味はそのままで「とても狭い場所や土地」の事を示す慣用句として用いられます
「新築の家なんて羨ましいですね」
「いやいや、土地なんて猫の額ほどの広さですよ」
虎やライオン、ヒョウなどネコ科の動物ほとんどが額は狭いんですが、子の慣用句で猫がチョイスされたのはそれだけ日本人にとって身近な存在だったということでしょうね
猫の目~意味と使い方
猫の額と同じく、猫の顔の特徴を用いた慣用句がこの「猫の目」ですね
黒目がちになったり、黒目が細くなって鮮やかなブルーやイエローの色になったり、猫は光の量を調節するために目の色がコロコロと変わる動物です。この「猫の目」という言葉は、物事や情勢、感情が目まぐるしく変化する様子を現しています
「怒ったりご機嫌だったり、うちの課長は猫の目みたいに感情が変わるから大変だよ」
「猫の目のように変化する世界情勢に対応するためにアンテナは常に張っておかないとね」
猫を被る~意味と類義語、使い方
基本的にネガティブな意味で使われる慣用句ですよね
「あの人普段は猫被ってるけど、本当は腹黒いから気をつけなよ」
というように、本性を裏に隠していい人や大人しい人を装っている人の事を「猫を被る」と表現します。昭和時代に一時期「ぶりっ子」という言葉が流行りましたが、その言葉とも共通するものがありますね
にしても…猫は裏表のない動物だと思うんですけどねぇ。猫の事があまり好きでない人が作った言葉だと個人的には思います!
猫なで声~意味と使い方
ツンデレの代表格ともいわれる猫ですが(そこが魅力なんですけど)、ご飯のおねだりや甘えたい時などのデレモードの時には高音の可愛い声でアピールしてきますよね
相手の機嫌を取ろうとか、媚びたりする時の猫のデレデレ時のような声のことを「猫なで声」と形容します
「うちの娘、普段は塩対応なのにお願いがある時だけ猫なで声出すんだよねw」
あ、思わず心の声が…汗
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